私が最も尊敬する医師、真弓定夫先生の著書から真弓先生の医療についてのお考えを学びたいと思います。

真弓先生の医院は白衣の医師や看護師のいない駅前商店街の8.5坪の小さな医院、小児科医院です。

先生のご著書「元気なからだは食べたものでつくる」(実業之日本社、2003年2月20日初版)から全て引用させていただきます。

1 病気はクスリで治さず、暮らしで治す

・知識は健康にしない。

・知識よりも生活に密着した知恵のほうが、より大切である。

・病気の知識ではなく、病気にならないためにはどんな食べものを食べ、どんな服を着て、どんな部屋で暮らしたらいいか、どんなリズムで一日をおくったらいいか、そうした生活の知恵をしっかり身につけてほしいものです。

2 クスリを出さない、注射もしない、その理由

・病気を治すには、クスリや注射よりももっと大切なことがあります。それは、日本人に合った暮らし方をすることです。その中でもとくに重要なことのひとつが「食べること」です。

・医聖といわれたヒポクラテスは2000年以上前に「、食で治せない病気は医もこれを治せない」言っています。私は「小児科は病気を治すところではない」と言い続けています。病気を治すのはみなさん自身であり、それも正しく言えば「治す」のではなく「治る」のであり、「癒す」のではなく「癒える」のです。

3 患者の来ない病院をつくりたくなった

・私は疑問を抱きました。

「なぜ、こんなに病人が多いんだろう」

「なぜ、これだけ病院に通っているのに、病気が治らないんだろう」

医学が発達すれば、病人は減るはずです。病院に長く通えば病気はよくなるはずです。ところが、目の前の現実は、いずれもその反対なのです。

私はその原因を、いまの医療が「マッチ・ポンプ」になっているからではないかと考えました。マッチで火をつけてはポンプで水をかけて消す。つまり、いまの社会は病気の原因を自分で作っておいて、今度はその病気を治すということにむだなエネルギーを使っているのではないか、ということです。

4 子どものアレルギー疾患が増えている

アレルギー疾患が増えている原因は、戦後、衣食住のすべてにわたって日本人に適した生活がどんどん失われ、ヨーロッパやアメリカ式の生活に変わってきていることにあります。そうした意味では、生活習慣病以上に私たちの生活習慣に深いかかわりを持っているといえます。したがって、アレルギー疾患に、クスリや注射よりも毎日の暮らしを見つめ直して対応する必要があります。

(真弓定夫医師著「元気なからだは食べたものでつくる」2につづく)