5 子どもの生活習慣病が増えている

・なぜ、子どもの生活習慣病が増えてきたのでしょうか。最も大きな原因として、戦後、牛乳・乳製品・肉・卵など動物性の食品をたくさん食べるようになったことがあげられます。戦前、伝統的な日本の食生活をしていたころ、日本人の平均身長は男性が150センチ台、女性が140センチ台でした。これが何百年、何千年という歳月を経て大きくなったのならよいのですが、たった60年たらずのうちに食生活が変化したことで急に大型化したことが問題なのです。

なぜかというと、大きくなったのは骨や筋肉だけで、内臓はそれほど大きくなってないからです。

6 食べものと心、食べものとからだは、つながっている

・いまごく平均的な食事をしている日本人の家庭で、子どもたちは毎日100種類以上のクスリ(化学物質)を口にしているといわれます。食べもののなかにクスリが使われている、それも毎日100種類というとびっくりするかもしれませんが、その代表は香料や着色料、保存料などの食品添加物です。

7 ほかの動物の乳を飲むのは人間だけ

・人間のほかに牛乳を飲む動物はどれくらいいるでしょうか。答えは、そう、牛だけです。

では、牛は人間の乳を飲むでしょうか。もちろん、飲みません。ほかの動物の乳をわが子に与える哺乳動物は人間以外にはいないのです。

・ヒトの歯は上下合わせて32本あります。左の上あごの8本のうち内側の2本は切歯といって、野菜・海藻・果物を食べるためのものです。そのとなりの1本は犬歯といって、動物性の食べものを食べるための歯です。残る外の5本(小臼歯2本と大臼歯3本)は米などの穀類を食べるための歯です。この割合と日本人の伝統的な食べものに当てはめると、毎日の食事の8分の5がごはん、8分の2は野菜・海藻類、8分の1は小魚を中心とした動物性食品となります。

8 土地のものを食べよう

・すべての哺乳動物はその動物が生まれ出た地域で、先祖代々食べ続けてきた食べものを食べています。

・それぞれの動物は自分の行動半径内の食べものしか、土地と自分のからだを切りはなしては考えられません。そうした「身土不二」という考え方があたりまえだった時代には、人が食べ方を大きくあやまることはありませんでした。むかしから「三里(約12キロ)四方のものを食すれば病せず」と言われていたのです。

(真弓定夫医師著「元気なからだは食べものでつくる」3につづく)