ブログを始めるにあたり、最初に、ある米国日系人の追悼文をご紹介させて頂きます。この追悼文は「亡き父に捧げる感謝の言葉」という表題で1985年8月3日、米国ロサンゼルスの日系新聞「羅府新報」に掲載されました。戦前広島から米国に移住した日系一世、美村光夫氏が、子供や家族のために一生懸命働いて、働き尽くしたことを心から感謝して、長女の吉田瑠璃子さんが書かれました。

 

美村光夫氏は広島からユタ州に移住して農業に従事されました。そして、当時の一世にならって、子供達を日本で教育を受けさせるため、広島の両親の元に送りました。戦後、米国に呼び戻しましたが、英語のできない子供達の将来を考え、ユタ州での手慣れた農業をやめ、ロサンゼルスに移住して新たな生活を始められました。

 

この追悼文からは、美村光夫氏のひたむきな生き方と家族に対する愛情、長女瑠璃子さんのお父さんに対する、心からの尊敬と愛情と感謝の気持ちが強く感じられました。私はこの文を読んで、胸の中から熱い想いがこみ上げ心洗われる思いになり、吉田瑠璃子さんを訪ねました。

 

美村光夫氏はいつも明るく、何事にも一生懸命取り組み、朝から晩まで働き続けました。美村氏は見返りを求めず与え続け、愛と奉仕を日々の生活で実践されました。

毎日一生懸命生きている親の姿を見て子供達は成長し、親から子へ、子から孫へと伝わっていく。世界各地に築きあげられた日系社会の繁栄は、このような素晴らしい先輩たちの黙々とした働きの賜物と思いました。

 

美村光夫氏は1985年6月27日85歳で他界されました。私は吉田瑠璃子さんから、「いつでも、どのような形でこの追悼文をお使いになっても構いません」と、オリジナルの原稿を託されました。縁ある方々にお互いに思いやる日本人の心を感じて頂きたく、ここに追悼文を掲載させて頂きます。

(日本人の心2につづく)